懐古ism

新しく綺麗なものだけが美しいとは限らない。 古びて傾き、壊れ、錆びつき、朽ちていく物にこそ宿る美しさがある。

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愛知県岡崎市(1) 

2010/12/21
Tue. 12:36

まず、この建屋の奥深さを共に味わいながら、いくつかの鑑賞ポイントを紹介していきたい。



外壁面に使用されているトタン波板は、その錆び具合程度によって得も言われぬ味わいを醸し出してくれるもので、懐古istにとっては心強い建材の一つだ。
この物件の波トタン壁は、まだそれほど赤茶けてはいないが、スカイブルーの空を背にすれば、元のトタン色と錆び色の割合がかえって心地良いとさえ言えよう。
また、玄関引き戸の木枠の色合いは、その頃合が小気味好く、これから始まる更なる熟成を予感させてくれる。
軒下に設けられた小ぶりな板塀がこの色に続くのはいつの日だろうか。

同じく木製の二階窓手摺の鑑賞ポイントについては一目瞭然、言を俟たないであろう。
その微妙な角度は、傾いてなお揺らぎない安定感を思わせる。
修繕は未だなされない。
だからこその味わいが増す好物件である。




では、もう一つの鑑賞ポイントからこれを眺めてみよう。

okazaki_02.jpg
お分かりのように同物件は道の出会いに位置している。
そのため、見る位置によってその表情を大きく変えることがある。
当該物件では、居住用家屋部分がY字路先端部に迫り出した上で面取りされているわけではないので、いわゆる「面取り物件」とは呼べないが、土地を有効的に活用してその存在を憚らないコンクリ打ちの建屋には愛らしい面取り部が見られる。

しかし、このコンクリ建屋部分は果たしてなんであろうか?
家屋に対し、ただの納戸と呼ぶには立派すぎる気がして、おそらく風呂場かなにかであろうと考えてみたが、そうなると正面側にあるアルミドアの存在が気にかかる。上部にみえる錆びたボックス状の物体も何であろうか?商店の看板部のようにも見えるから、元はそうして使われていた開口部を用がなくなって後から閉じた可能性もある。元は開口部だと考えると、シャッター収納ボックスに見えなくもないが、これも判然としない。
また、向かって右側道路に面する建屋は、妻側に玄関をもつ二階建ての家屋と、それに続く家屋から成り立っており、こちらの建屋は平入側に同じ形状の玄関、板塀、庇をそれぞれ二つずつ構えていることから、おそらく長屋であろう。この二つの建屋は別棟のようにも見えるが、板塀や庇、仕切り塀の形状がほぼ同じであること、電気配線が共用されていること等の点を併せて考えると、これで一棟と見るのが正しい向きだろう。
もし風呂無し仕様の長屋だと考えれば、先ほどのコンクリ建屋が外部と通用するドアを持つ共同風呂だとしても合点がいく。この場合、二階建ては大家宅であるかもしれない。





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